映画「あした天気になる?」に込めた想い

(2009年9月、日本発達障害福祉連盟「発達障害白書2010年版」に掲載)

『あした天気になる?』の舞台となった入所更生施設「サンガーデン鞍手」は、平成15年に、主に行動障害をもった自閉症の人たちを受け入れる施設として開設した。宮崎監督から、発達障害の人たちの暮らしを描いた映画を作りたいので取材をしたいとのお話をいただいたのは、開設4年後の平成19年の夏だった。
開設して2年間は、自傷、他害、物壊し、暴言、不眠など、生活棟内は壮絶な状況であったが、職員が一致団結して、「快適な環境」「本人主体」「科学的専門的支援」という3つの柱を実践に貫くことにより、映画の撮影が始まった頃には、ほとんど行動障害も見られなくなっていた。
私は、サンガーデン鞍手での実践を通じて、行動障害とは、本人たちの不安や緊張、自分の思いが他者に通じないもどかしさやつらさの現れであること、そして行動障害は本人を理解しない環境が作るということに確信を持った。
映像は、彼らの心のゆらぎに寄り添いながら、同年代の青年たちと同じように喜怒哀楽を持って暮らしている等身大の彼らの姿を追っている。私は、行動障害に日々苦しみながら出口の見えないトンネルをさまよっている方々に、この映画を通じて、行動障害は適切な環境や支援により限りなく軽減されるということを是非とも知っていただきたいと願っている。