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スタッフエッセイ

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エッセイ

「寄り添う」ということ

 

 ゆたかカレッジに通う学生たちは、様々な活動の中で、日々成長しています。私が担当している3人の学生の様子をお伝えします。

 

Iさんは、私が担当を持って2年が経とうとしています。彼は入学当初は表情が硬く、孤立していました。孤立といっても、ただ自分のペース、テリトリー内で活動することが多いだけなのですが。

 

 そこを本人と話を行い、「友だちと関わりながらコミュニケーション力を高めていこう!」と目標を設定しました。まずは友だちに興味をもつことから。日記の中には自分のことだけでなく、友だちのことも記入するように約束しました。決めてからは即実行。はじめは短かった文章も徐々に増え、「何見てるの?」と白分から話しかけるようになりました。

 

 そんなIさん、1年間で心優しく人に接し、友だちに興味をもつほどまでに大きく成長しました。友だちと関わるうちに、他者の行動に興味を持ち、楽しいことも見つけ、共通の話題で笑うこともあります。初めは、カメラを向けても顔が引きつっていましたが、今では自分から「写真撮ってください。」と満面の笑頗で写っています。心の底から笑うことができ、表情が豊かになりました。そんな彼の成長を嬉しく思うと同時に私も一緒に笑顔になっている今日このごろです。

 

 Sさんとはよく休み時間に話をします。彼女とは、はじめ何を話せばいいのか、話題を考えて話しかけることもありました。TV番組のことや芸能人、彼女の好きなアニメなど自分も見ることで共通の話題を作っていました。そうしているうちにだんだん自然と話をすることができ、相談も受けるようになりました。

 

 相談においてはどうアドバイスしょうかと考えることもありました。Sさんの性格上、強く押すことができないこともわかっていたので、促す程度でした。しかし、それでは彼女のためにならないと思った私は、自分の実体験も打ち明けながら、心に訴えかけました。すると思いが届いたのか共感してくれたのか、彼女も理解してくれ、私を受け入れてくれるようになりました。

 

 それからは何かあれば「先生、お話ししましょう。」とSさんの方から声をかけてきます。そんな時は何か悩みがある時。「いいよ」と相談にのり、同じ女性としてアドパイスを行います。

 

 時には保護者の方からお願いされることもあります。私と彼女の関係を知ってのことでしょう。そこは同じ親の立場で彼女に話をします。母親に対して素直になれないけれど、第三者の私ということもあって受け入れてくれました。帰宅して保護昌にも素直に話ができたようです。

 

 はじめは強く意見をいってくる人に対してはそっぼを向いていたSさんですが、今では人の意見も受け入れられるようになりました。今でも会話の中で、Sさんと恋の話をしたり、悩みを聞いたり、たあいない会話に笑ったりして寄り添っています。

 

 ガラスの心をもつHさん。初めは、どのように接すればいいのか悩みました。日々、葛藤する彼にどこまで踏み込んでいいのか、探りながら接していました。

 

 私が探れば、彼も同じように私を探る。面談の時など「怖いよ〜」と言われるぐらいでした。「どうして怖いの?」「だって”メス”を入れられるから」。私がHさんについて話すことが、Hさんにとっては心に“メス”を入れているぐらい痛いことなのだということがわかりました。それからは、“メス”の入れ方を変えました。

 

 こと細かに内容を提示し、できることを伝えることで彼にとってわかりやすく、優しいメスになったようです。すると「ありがとう」とお礼を言われました。それからはHさんの方からテリトリーに入って話をしてほしいと言ってくれました。Hさんとの距離が縮まり、信頼関係ができたときでした。私も彼のことがわかるようになり、来校しての表情、声のトーンで何があったのかわかるようになりました。

 

 来校して悶々とした発言をしている時はHさんのサイン。「話をしに来てよ。」と最近私は思うようになり、「どうした?」と話をしに行くとわ一っと話し始めます。今では関係性ができているので鋭いメスを入れると「わかってくれてありがとう」と悩みを打ち明けてくれたりもします。つい先日は、自主学習の時間も費やして悩んでいることについて納得いくまで話をしました。「あ〜、すっきりしました。」と笑顔で帰るHさんの表情を見ると安心します。

 

 学生といろんな話をする中、学生たちが言うのは「先生、お母さんみたい。」「え〜私は20歳でみんなを産んでません。(笑)」と笑いながら、内心嬉しい言葉だな〜と微力ながら寄り添えていることを実感しています。

 

(YK)

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