Staff essay
Essay
頑服ろうとしている姿
4月、私はゆたかカレッジの職員として働き始めた。私はゆたかカレッジの学生の入学当初の様子を何も知らない。入学当時に作成された書類や、様子を知る支援教貝から話を聞いて、状況を想像することしかできなかった。そういった面で悔しさを感じていたある日、「次、それ借りてもよろしいでしょうか?」「僕がここの掃除をするので、君はそっちをお願いします」と仲間に話しかける彼の行動が目にとまった。
私から見るAさんは他人に話しかける時の表情は無表情、不器用な言葉で相手に話しかける。しかしそれが彼の精一杯で、そして何より私はそれが彼の“普通”だと思っていた。
ある日、Aさんがいつも使用しているパソコンの席に見学者が座っており、Aさんは“どいてほしいな”というような表情で見学者を見ていた。「ちょっとそこ、どいてくれないかな〜?」と見学者に声をかけた。話しかけた時、Aさんは苦笑いだった。私は“どいてほしい”という気持ちから苦笑いになったのかと思ったが、Aさんの様子を見てある変化に気がついた。
【彼は笑おうとしている】
他人に話しかける時、無表情が多い彼が苦笑いをした。固い表情が緩んだ。それは「無表情⇒苦笑⇒笑顔」という階段をずっと登ろうとしていたのだ。その階段を一段登った瞬間だった。その時、同じ空間に居た自分が嬉しくなった。頑狼ろうとしている姿に心を打たれた。
「ゆたかカレッジに通い始めてからの彼らの成長」を、入学当初の様子を知らない私には、目にすることは難しいかもしれない。しかし、「私が知っている彼らのこれからの成長」を感じることはできる。その可能性を教えてくれた彼に感謝し、私はこれからも学生と共に成長の階段をゆっくり一段ずつ登っていきたい。
(TR)