Qualification acquisition support

各大学視察報告

ボウバレーカレッジ

ボウバレーカレッジにて意見交換 ボウバレーカレッジにて意見交換

1 ボウバレーカレッジの概要

ボウバレーカレッジは1964年に創立された公立のコミュニティカレッジである。学生数は約14,000人で、多種多様のビジネスプログラムや看護・ヘルスケア関連のプログラムなどのコースを用意している。また、毎年1,000人以上の留学生を受け入れているのも特徴である。

同カレッジがインクルーシブプログラムを始めてすでに9年が経過している。2016年現在6人の障害学生が在籍し、医療や法律などを学んでいる。

2 プログラムコーディネーターの役割

インクルーシブプログラムコーディネーターのゲイル氏は、3つのコースを管轄して3人の学生をサポートしている。

インクルーシブプログラムには短期集中型の4か月コースがあり、そこでの主なプログラムは医療、健康、病院スタッフ養成や資格取得などである。その他のコースは最長2年間まで在籍期間を延長することも可能である。その場合は試験内容や授業内容を調整することになる。このプログラムを修了しても修了証明書を受け取ることはできないが、学生の個人レベルでの社会性向上において大きな成果をあげている。

もう1人のインクルーシブプログラムコーディネーターのエミリー氏も、ゲイル氏と協力し合いながら障害学生に対して必要なサービスをコーディネートしており、障害学生が一般学生とインクルーシブな関係を築いていけるよう努めている。

プログラム推進責任者のエリック氏は、授業だけでなくジムやダンスなど同年齢の人たちが体験することを障害学生にすすめ、障害のレッテルを貼られることなくみんなといっしょにさまざまな体験ができるように努めている。

ボウバレーカレッジは地域社会に根差すことをめざしている。そのため、卒業後のサポート体制づくりにも取り組んでいる。学生は高等教育において友好的な関係を築き広げているので、そのような関係がクラスメートだけではなく、地域社会のより多くの人たちと築いていけるよう、卒業後もソーシャルメディアによってサポートしている。

たとえば学生とスタッフ、あるいは学生同士がツイッターやフェイスブックなどを活用して情報交換を行っている。大学卒業後は、就職や新しい出会いに対して適応できるようになることを重視して支援している。障害学生にも一般学生と同様の人間関係の広がりや就労のチャンスの広がりが得られることが大切だと考えるからである。

先のゲイル氏は基本的に、1つのコースに1人の学生を1年間受け入れる形をとっている。彼らは、介護や看護などについてゆっくり学ぶことができる。授業は能力に応じて進行スピードを調整して対応している。試験では、たとえば通常4択の問題を2択にするなどの配慮をしている。また、ほかの学生との関係づくりや障害学生を含んだグループでの宿題対応なども支援している。

3 一般学生にとってのインクルーシブ教育の意義

ボウバレーカレッジにてボウバレーカレッジにて

大学では、障害学生にとっては単に単位を取るのではなく、ニーズに合わせて学ぶ機会が与えられることが重要である。大学での活動はポートフォリオに記録され、就職活動などで必要な場合はそれを提供できるようになっている。

ここでは一般学生と同じチャンスが障害学生にも与えられる。さらにここでは障害学生を一般学生がサポートする制度が確立している。こうしたことは一般学生の企業就職においても高く評価されている。

障害学生との関わりは、一般学生についても予想した以上に学ぶことが多い。いまでは合計30〜40におよぶ学部・学科において一般学生をメンターとして紹介している。一般学生が障害学生とともに学ぶことについての感想の調査から、学生も教授もよりよい教育を提供したいと願っていることや、大学においてよりよいスタッフを必要としていることが明らかになっている。

サポートする一般学生と障害学生との関係について、メンターと友人とは別の存在と考えている。メンターは授業、宿題のサポートをする存在であり、それ以外の時間については障害学生とメンターはほかの友人と過ごすことが多い。それに対し、両者の間の友情が深まるような活動を促している。メンターと障害学生間に友情が生まれることもあるし、障害学生がメンターとは別に友人をつくることもある。

 障害学生と一般学生がいっしょに過ごすことは簡単なことではない。精神的な成熟度も求められる。しかし、メンターになることを希望する学生は毎年30〜35人いる。彼らは興味をもってサポートにあたっているのである。