《福祉コラムVol.33》知的障害児の出生率は?男女比率やダウン症の出生率も併せて解説!
2022.10.24
知的障害は、出生前に発生する遺伝子的要因により発生するケースが多くあります。
もちろん障害が軽度であるため大人になってからも気づかない場合も存在していますが、生まれる前の環境や状況によって発症することが傾向として高いという事実はあるため、どれくらいの割合で知的障害になるかということを知りたい方も多くいらっしゃると思います。
そこで今回は知的障害児の出生率から男女比、支援サービスまで含めて解説していきます。
知的障害児の出生率
知的障害児の増加の原因として出生時体重と母年齢との関連を経年推移から明らかにすると ともに、知的障害児の増加を説明するための数理モデル構築を目的とした「知的障害児の増加と出生時体重ならびに母年齢との関連」という論文から、出生率については以下のような特長があります。
- 1973年から2012年度の40年間で、知的障害児の出生千当たり発生率は重度では増加していなかったが、中軽度障害では1993年頃を境に20年間の増加が著しい
- 40年間の出生時体重と母年齢との関連をみると、母年齢が29歳を越えると出生時体重が急減する傾向があることが確認された
- 1993年を境に知的障害児の発生率が急増した原因として、母年齢の上昇と出生時体重の減少による相乗効果が示唆された
知的障害児の出生率は、中軽度を中心に年々確実に増加しています。
論文によると各年の中程度知的障害の出生率は、出産する母の平均年齢と出生時体重の2つの要因で大方の説明が付くと考えられています。
しかし、近年では医療の発達もあり出生時の体重減少は比較的止まっているとされていますが、母年齢の高齢化は進行し続けており、知的障害児の割合は今後も増加する可能性があると予想されているようです。
知的障害児の出生率の男女の比率はどのくらい?
知的障害児の男女比率は、”1.5:1”とされており、男児の方が知的障害を持って出生するケースが多いと考えられています。
知的障害や発達の遅延が疾患となって現れる遺伝性の病気である「脆弱X症候群」の発生率は、男児が約1500人に1人に対して女児が約2500人に1人となっています。
脆弱X症候群では、知的障害の重症度レベルは男児の方が女児よりも重度となる傾向が多いと考えられてはいますが、大規模な調査が行なわれた実績が国内では少ないため、日本人男児の脆弱X症候群は1万人に1人とも言われています。
染色体異常によって発症する先天性の病気である「ダウン症」の場合には、男女比率は男児が少し多いものの、その差はほとんど無いと考えられています。
知的障害は比較的男性が多いとされていますが、そもそもの出生率の男女比自体が男性が多いということもあるため、一概には男児の方が多いと考えられるわけではないでしょう。
知的障害児の利用できるサービス
ここでは知的障害児が利用できる様々なサービスや支援について紹介していきます。
障害のレベルや個人の性格に応じて、サービスを選ぶ必要があるのはもちろんですが、様々な特長を持つ支援があるため、体験などから焦らずじっくりと決定する方が良いでしょう。
- 放課後デイサービス
学校に在学している障害児が、放課後や長期休暇の間に生活能力向上のための訓練を行うサービスとなります。
学校教育と共に障害児の自立を促す内容となっており、障害児自身の居場所づくりをサポートします。
- 居宅訪問型児童発達支援
障害のレベルが重たい障害児や外出が困難な環境にある障害児に対して、住んでいる居宅に直接訪問をして、発達支援を行うサービスとなります。
- 障害児入所施設
障害児の保護および日常生活の自立と支援を行うための施設となっており、生きる上で必要な知識の習得や仕事などの技能を身につけるための入所施設です。
福祉型と医療型の2種類で分けられており、日常生活の支援が主なのか、疾患の治療が主なのか、といった各々の状況に合わせた施設が存在しています。
- 障害児相談支援
障害児相談支援は、障害児が支援やサービスを利用するための手続き関係の援助や支援計画のサポート、継続支援の利用援助を受けることができます。
障害児利用援助は、 障害児通所支援の利用申請手続きに必要となる、本人の状況や環境、本人と保護者の意向を考慮した障害児支援利用計画案の作成から、 利用が決定した際のサービス事業者との連絡調整などを手厚く補助してくれるものです。
もう一方の継続障害児支援利用援助は、すでに利用している障害児通所支援において、支援内容が適切であるかどうか一定期間ごとに調査検証を実施し、支援計画の見直しが援助内容となります。
その結果に基づいて支援計画の変更を推奨したり、相談に応じるといった継続的な相談型サポートを受けることができます。
まとめ
障害児の出生率としては、母親の出産年齢によって変化することが大きな要因ではあるものの、医療の発達や支援やサービスの普及により、少しずつ生活しやすくなっている面があることも事実です。
しかし、様々な支援形態が増えてきている現在においても、適切なサポートを受けることができていない障害児も多く存在しています。
さらなるサービスの普及とより身近な存在として支援施設があることが、今後の大きな課題となるでしょう。
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