《福祉コラムVol.3》知的障害の人に多く見られるダウン症

2022.08.02

ダウン症とは、染色体の異常から発症するダウン症候群という先天性の疾患です。ダウン症の多くは知的障害との合併を伴い、さまざまな身体的異常が見られるのが特徴です。

ダウン症候群という名称は、1965年に世界保健機関であるWHOにより正式に決定されました。病気の発見者であるイギリス人医師のジョン・ラングドン・ダウン氏にちなんだものです。

一般的にダウン症は運動機能や知能、言葉などに発達の遅れが見られます。また、さまざまな合併症を発症するため継続した治療が必要となる場合があります。

ダウン症の身体的特徴や合併症はなぜ発症するのか、合併症にはどのようなものがあるか、など原因を確かめていきたいと思います。ダウン症を理解するための参考にしてみてください。

ダウン症とは

ダウン症は染色体異常のひとつです。人の21番目の染色体が、通常より1本多く3本になることで発症します。

現在の医療技術には、胎児の時に染色体異常などの先天性疾患があるかどうかを調べることができる検査があります。出生前検査と呼ばれるものです。検査の種類にはいくつかありますが、胎児がダウン症であるかどうかを診断できるものもあります。

ダウン症にみられる特徴として、知的機能や運動機能の遅れがあります。また、合併症として心臓、呼吸器、消化器、耳や眼などに疾患が現れることがあります。他にも筋肉の緊張度が低いといったものなど、さまざまな身体的異常がみられます。

日本のダウン症の推定出生数は年間約2,200人であるとされています。これは2019年に日本人医師により発表されたものです。2010年〜2016年の7年間は、ほぼ横ばいとなっています。

ダウン症の特徴的な外見としては頭部が小さい、目がつりあがっている、鼻が低い、小さい耳が頭部の低い位置にある、低身長などがあります。また、筋肉の緊張度が低く、舌が大きいため口を開いたままであったり、乳児期であれば哺乳がうまくできない、首が座りづらいなどの症状などが挙げられます。

合併症はなぜ起こる?

人間の体は細胞からできており、細胞の核のなかに染色体があります。染色体の中には、遺伝情報が記録されたDNAが収納されています。DNAとは人間の体を作る設計図のようなものです。ダウン症は、その設計図の入った21番目の染色体に異常が起きることで、通常とは異なるさまざまな症状が身体に現れます。

高齢出産になるとダウン症の出生率が高くなります。染色体異常は卵子の分裂異常によって引き起こされるので、年齢が高くなると卵子の機能が衰えて分裂がうまくいかないことが原因だと考えられています。

人の染色体は46本あり父親と母親それぞれから23本ずつ受け継いでいます。46本の染色体は、22組のペアの常染色体と2個の性染色体からなっています。

ダウン症は、本来2本であるはずの染色体の21番目が3本になることで発症します。染色体異常症といわれる疾患のひとつです。染色体が3本になった状態をトリソミーといいます。そのためダウン症は21トリソミーとも呼ばれます。

異常が起こった染色体の構造により、標準型・転座型・モザイク型とダウン症を3つに分類します。発症頻度が最も高いのは標準型です。全体の約90パーセント以上といわれています。標準形の場合は、両親の染色体にほとんど問題がないとされ、受精した時に偶然に起こるものとされています。

合併症は全てのダウン症に起こるわけではありません。ダウン症と診断されても発症する合併症の種類や症状、程度は人によってさまざまです。

現在の医療では、ダウン症の原因である染色体異常を根本的に治す方法はありません。

しかし、ダウン症によって生じるそれぞれの症状に対して治療を行うことは可能です。

医学が発達したことで、妊娠中に胎児の異常が発見される場合や、出産直後の検査で異常が発見されるようになり早期に治療を開始できるようになっています。

知的障害であるダウン症がかかるリスクのある合併症

染色体の異常で発症するダウン症は身体にさまざまな影響を及ぼします。心臓疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、甲状腺機能低下、難聴など多くの合併症が伴います。

合併症の種類もさまざまですが症状もそれぞれ違います。重症度が高くなることもあれば、軽度の状態のこともあり治療方法が異なります。また、ダウン症の多くは複数の合併症を伴います。

合併症は出生直後など早期から治療することで、重症化のリスクが軽減されることがあります。また、新生時期には発見できなかった疾患が成長の段階で発症することがあります。

ダウン症は知的障害を伴うことが多いので、身体の異常を自ら伝えられないことがあります。そのため疾患の発見が遅れることがあり注意が必要です。

ダウン症がかかりやすい合併症を項目ごとに解説

・心疾患

ダウン症の新生児の約半数がなんらかの心臓に疾患を持っています。特に多いのが、心臓の右側と左側を隔てる壁に穴が空いている状態です。心室中隔欠損、心房中隔欠損といわれる疾患です。治療を必要としない軽度の場合から、手術を必要とする重症な場合があります。

・消化器系疾患

生まれつき十二指腸が閉じている「十二指腸閉鎖症」や肛門が閉じている「鎖肛」などの症状がダウン症の新生児に多く見られます。消化や排泄ができないため早期に手術を行います。

・代謝・内分泌系疾患

ダウン症の場合、先天的に甲状腺機能が低下していることが多く見られます。新生児の段階で発見され治療が開始される場合がありますが、乳児期に発見されずに成長段階で症状が出ることもあります。肥満、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症など成長の過程で治療が必要になることもあります。

・耳鼻科系疾患

ダウン症の難聴の場合、多くは伝音性難聴だといわれています。滲出性中耳炎などが原因で発症します。その場合は成人になると改善することがあります。

・眼科系疾患

ダウン症の約60パーセントに斜視や白内障、遠視、近視、乱視などの症状が発症するといわれています。メガネによる矯正が必要になる場合があります。

・血液系疾患

急性白血病を発症する頻度が通常より10倍から20倍ほど高いといわれています。また、鉄欠乏性貧血が見られることもあり、内服薬等の治療が必要になることがあります。

・泌尿器系疾患

ダウン症の男児で多いのが停留精巣です。陰嚢の中に精巣が入っていない状態をいいます。自然下降が見られない場合は、1歳から2歳頃までに手術することが多いようです。

まとめ

ダウン症は知的障害や合併症により発達に遅れが見られる疾患です。成長の過程は全般的にゆっくりです。また、さまざまな合併症は身体に影響をあたえ、生活に制限が出ることがあります。しかし、医学が発達してきた現在では合併症の早期治療が可能になってきています。

ダウン症は多くの合併症を伴う疾患であることを理解することが大事です。合併症は種類や症状に応じた治療が必要になります。主治医と相談して、疾患ごとの専門医と連携することが重要になります。また、子供の頃にはなかった疾患が、成長段階において発症する場合があることも抑えておきたいポイントです。

ダウン症の正しい知識を持って、継続した医療的ケアや日常のサポートをしていくことが大切だといえるでしょう。

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