《福祉コラムVol.18》知的障害とは?その原因などについても詳しく解説
2022.09.28

知的障害という名前は聞いたことがある方が多いですが、知的障害はそもそもどの段階で診断がつくものなのでしょうか。
知的障害は、18歳未満に出現し、知的機能、概念的、社会的、実用的な領域における適応行動が低いことで日常生活に困難が生じる状態を言います。
この知的障害の原因となるものが、研究などから解明されているのでしょうか。
知的障害となる原因に遺伝や、環境などは関連があるのでしょうか。
今回は、知的障害とは?を簡単に説明させてもらった後、知的障害の原因となるものについてまとめさせていただきます。
知的障害の特徴について
知的障害は、症状の程度から「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4つに分類されます。
この4つの違いを、具体例を交えながらまとめていきます。
- 軽度:暗算やおつりの計算などの金銭管理、抽象的な思考、計画を立てること、優先順位をつけることなどが苦手な場合があります。同年齢の人たちより、未熟な点がみられることもあります。
- 中度:複雑な社会的な判断や意思決定、人生における重要な決断を行なう時は支援が必要になることがあります。暗黙のルールとされるものを、理解することが苦手な場合があります。
- 重度:生涯を通して、食事や身支度、入浴など生活上において、広範囲の支援が必要となることが多いです。コミュニケーションは、単語や句を使う簡単な会話のみが可能です。
- 最重度:日常生活において、他者からの支援を必要とすることがとても多くなります。コミュニケーション手段は、身振りや絵カードを使っての表出や、他者からの感情の読み取りによって、他人と意思疎通を行なうことができます。
知的障害になる原因について
原因は、十分には解明されていない状況です。
しかし、最近の遺伝子研究からその原因が少しずつ解明され、主な要因が3つあると言われています。
病理的要因、生理的要因、環境要因になります。
- 病理的要因:病気や外傷など脳障害をきたす疾患です。これらの合併症として、知的障害が一緒に起きることがあります。この中に、てんかんや脳性まひなどのほか、ダウン症などの染色体異常にのる疾病も含まれます。
- 生理的要因:特に疾病などがなく、たまたま知能水準が知的障害の範囲内にある場合を示します。
- 環境要因:脳が発達する時期に、不適切な環境であることで知的障害の症状が悪化したり、脳の発達が遅れる原因になったりします。しかし、これが直接の原因になるわけではありません。
また、時期によって発現する原因は変わることがあります。
これについて紹介していきます。
出生前
内的原因と外的原因の2種類があります。
- 内的原因:遺伝子や染色体などの異常があって起きるもの。
- 外的原因:母体の感染症や薬物の影響、外傷などによって起きるもの。
周産期から新生児早期
「周産期」とは、出生周辺期の意味で満28週移行を示す妊娠期後期で「新生児早期」は生後1週間以内を指します。
出産トラブルによって、低酸素や循環障害などが起きたことによるものがあります。
出産時による原因は、医療体制の進歩により少なくなっていると言われています。
出生後
交通事故などによる頭部外傷、感染症で起きることもあります。
また、不適切な養育環境(ネグレクト)や虐待などが原因になることもあります。
遺伝との関連性について
一部で、遺伝性の疾患によるものがあることは分かっています。
遺伝的な原因のほとんどは、遺伝子の突然変異や、染色体の異常によるものと言われています。
遺伝子の突然変異は、誰にでも起こることがあります。
つまり、正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こすことによるのです。
そのため、親に知的障害があったり、その原因となるものを持っていたとしても、それが必ず子どもに遺伝するとは限りません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
知的障害の原因についてわかったことをまとめていきます。
- 知的障害は、18歳未満で発現し、知的機能と適応機能が低いことで日常生活に困難が生じる状態を示す。
- 知的障害は4つの区分にわけられており、「軽度」「中度」「重度」「最重度」と細かく決められている。
- 知的障害となる原因については、はっきりとした解明はされていない。しかし、要因となり得るものが3つあり、病理的要因、生理的要因、環境要因である。また、時期によって発現する原因に変化も見られている。
- 遺伝との関連で、正常な遺伝子や染色体に突然変異によって異常が起きた場合、知的障害になることがある。そのため、知的障害を持った親から必ず子どもに遺伝するとは限らない。
知的障害がなぜ起こるのか、多くの要因があることも分かりました。
遺伝子や染色体の異常、他にも環境要因も直接的ではなくても間接的に関係してくることも分かりました。
知的障害が起こるメカニズムなども、少しずつ解明されてくると支援の仕方も見えてくるかもしれません。
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