《福祉コラムVol.31》知的障害、自閉症にリスクのある合併症について解説!

2022.10.19

知的障害と自閉症の関係性はご存じでしょうか。

知的障害は脳の疾患になりますので、あらゆる脳に関する合併症のリスクがあります。

特に合併症の中で多いのが自閉症となります。

成長の中で合併症のリスクがあると心配になるかと思いますが、成長をしっかり周りの人達が観察していくことで気付きがあるかと思います。

自閉症にリスクのある合併症はどんなものがあるのか、また合併症を見極めるポイントを詳しく説明していきます。

知的障害と自閉症の関係性

知的障害と自閉症の関係性について詳しく説明していきます。

知的障害の併存症で最も多いのが自閉症です。

その他、注意欠如・多動症、発達性協調運動症、不安症、抑うつ障害、学習障害なども併存します。

中度から最重度の知的障害では、高確率で自閉症スペクトラム症を併存しています。

知的障害はさまざまな併存症がありますが、約70%以上の人が精神疾患を持っていると言われています。

そして、40%以上の人が2つ以上の精神疾患を持っており、知的障害者の多くに自閉症が併存しています。

自閉症とは?

自閉症とはどんな症状があるのか説明していきます。

自閉症とは、人と話すのが苦手・行動に独自のこだわりがある事が多いです。

年齢は1〜3歳までにこのような特徴があらわれます。

また、女性より男性にあらわれる事が多く、女性の2〜4倍です。

原因は不明ですが、脳機能の異常によるものだと言われています。

「育て方やしつけの問題なのでしょうか」と子育てに悩む方もいらっしゃいますが、そうではありません。

研究からも、育て方やしつけが原因ではないと言われており脳の疾患ということが分かっています。

自閉症にあらわれる特徴とは?

  • 言葉を話し始めるのが遅い
  • 周りの人に興味を示さない
  • 名前を呼んでも振り返らない
  • 大勢で遊ぶのではなく1人で遊ぶことが好き
  • こだわりが強い
  • 一つのことに熱中して周りが見えなくなる
  • 人と話すのが苦手
  • 話している時に目を逸らす・見ない
  • 同じ動作を繰り返している

主にこのような特徴が1〜3歳までにあらわれます。

このような症状を薬で治すことは出来ません。

一人ひとり症状が違うため、その人に合った教育が必要となります。

教育のことを、この場合は「療育」と言い、症状を踏まえその人に合った「療育」をすることで生活面の支障を少なくすることが出来ます。

自閉症を持った子供達は、こういった症状を周りの人に理解しにくいといった悩みを持っています。

そのため、対人関係がうまくいかずいじめや不登校などを引き起こしやすいです。

自閉症の子供が安心して最小限のストレスで生活できるよう、家族や周囲の人達は症状の理解が必要不可欠となります。

合併症はなぜ起こるのか?

合併症が起こる原因はさまざまな要因が関係しています。

その中で、脳の中枢神経系疾患が原因の1つと言われています。

脳の疾患と関わりのある合併症が起こる確率が高いです。

知的障害や自閉症がかかるリスクのある合併症

知的障害や自閉症がかかるリスクのある合併症について詳しく説明していきます。

少なくともこれらの合併症が予測されます。

  • ADHD(注意欠如・多動症)
  • LD(学習障害)
  • 脳性麻痺
  • てんかん
  • 抑うつ

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴

  • 忘れ物が多く、時間や物の管理が出来ない
  • 集中力が続かず、じっとその場に座っている事が出来ない
  • 自分の感情や行動をコントロールする事が出来ない

学習障害(LD)の特徴

  • 全体的な知能の遅れはない
  • 聞く・話す・読み・書き・計算等の中で特別苦手なものがある

全体的な知能の遅れはないが、読み書き計算などのある特定の一部だけが、他に比べると苦手(うまくいかない状態)です。

学校での学習の遅れが1〜2学年あることが多いです。

読字障害

  • 音読が遅い
  • 読み間違えることが多い
  • 読んでいる文字や文章の理解ができない

書字障害

  • 一般的なバランスの取れた文字が書けない
  • 書き写す速度が遅い
  • 文字を書く際に余分に線や点を書いてしまう

算数障害

  • 数列系の規則性が習得出来ない
  • 計算が出来ない
  • 文章問題の理解が出来ず解けない

脳性まひの特徴

「母親のお腹の中にいる時から新生児期までの期間のどこかで受けた脳の損傷による後遺症です。」

胎内

胎内感染症(風疹・サイトメガロウイルス)

脳の寄形(形成異常)など

出生時

仮死(低酸素性脳症)頭蓋内出血、脳室周囲白質軟化、核黄疸など

新生児期

髄膜炎、頭部外傷など

運動障害の程度はさまざまであり、軽度から重度まであります。

<部位>

四肢麻痺・片麻痺・両麻痺・対麻痺・単麻痺・三肢麻痺

<性状>

痙直型・アテトーゼ型・失調型・低緊張型・混合型

てんかんの特徴

てんかんとは、突然意識を失って反応しなくなる発作を繰り返す脳の病気になります。

年齢・性別・人種に関係なく発病します。

てんかん発作は、大脳の電気的な興奮が発生する場所によってさまざまです。

発作の症状はほぼ一定で、同じ発作が繰り返し起こるのが特徴です。

知的障害が重いほどてんかんの併存率が高いと言われています。

抑うつの特徴

抑うつとは、ストレスや体調などのさまざまな原因で気持ちが落ち込み、活動量が低下します。

落ち込んで何もする気になれず、精神症状や身体症状どちらにも症状があらわれます。

更に、意欲の低下・思考力や集中力の低下があらわれる事もあります。

まとめ

自閉症の併存症で最も多いのが知的障害になります。

脳の中枢神経系疾患が原因の1つと言われており、脳の疾患と関わりのある合併症が起こる確率が高いです。

自閉症とは、男性に多く、人と話すのが苦手・行動に独自のこだわりがあります。

知的障害者や、自閉症にリスクのある合併症は

  • ADHD(注意欠如・多動症)
  • LD(学習障害)
  • 脳性麻痺
  • てんかん
  • 抑うつ

これらのさまざまなものがあげられます。

脳の疾患があるとさまざまな合併症のリスクが高い事が理解できました。

知的障害や自閉症について理解を深め、少しでも障害がある方を理解できるようになりたいですね。

障害がある人を支え、優しい世の中になって行く事を願います。