《福祉コラムVol.45》精神障害と知的障害に違いはあるのかそれぞれの特徴についても解説!

2022.11.15

障害の種類が主に3種類あることをご存知でしょうか。

「身体障害」「知的障害」「精神障害」となります。

身体障害は、体のどこかしらに障害があることがわかります。

しかし、「知的障害」と「精神障害」って何が違うのでしょうか。

この記事では、2つの障害の特徴や違いについてまとめていきます。

精神障害と知的障害の違いは?

精神障害と知的障害は、似ているようで全く異なる障害になります。

それぞれの障害について、簡単に説明させていただきます。

  • 精神障害:精神疾患のため精神機能に障害が生じ、日常生活や社会参加に困難が出ている状態を示します。
  • 知的障害:18歳未満で知的能力と社会生活への適応能力が低いことで日常生活に困難が生じている状態のことを示します。

上記のように、精神障害は精神疾患と呼ばれるものによって生活に困難が生じるものに対して、知的障害は知的能力と社会生活への適応能力の低さによって生活に困難が生じている状態を示します。

精神障害の特徴

上記でも記載した通り、精神障害は精神疾患の精神機能の障害が生じ、日常生活や社会参加に困難をきたしている状態を示します。

特に、病状が深刻になると判断能力や行動のコントロールが著しく低下してしまいます。

見た目では分かりにくい障害のため、偏見や差別のようなことを受ける場合もあります。

精神障害を持っている方と接する場合は、理解していくことが大切となります。

また、どのような精神疾患があるかを知ることでより理解を深められることができます。

精神疾患の種類について、まとめていきます。

統合失調症

考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患です。

原因は脳の機能にあるのではないか、と考えられています。

統合失調症は、大きく分けて3つの症状があります。

  • 陽性症状
    • 妄想:「ずっと監視されている」など実際に起きていないことを強く確信すること。
    • 幻覚:まわりに誰もいないのに悪口などが聞こえる幻聴、ないはずものが見える幻視など、現実的な感覚として感じ取ること。
    • 思考障害:思考が混乱し、考え方に一貫性がなくなること。会話なども脈絡がないこともある。
  • 陰性症状
    • 感情鈍化:喜怒哀楽の表情が乏しくなる。他者への感情表現への共感が難しくなることも。
    • 思考の貧困:会話における比喩などの抽象的な言い回しが使えなくなったり、理解が難しくなる。
    • 意欲の欠如:自発的に何かを行おうとする意欲がなくなってしまったり、継続が難しくなる。
    • 社会的引きこもり:自分の世界に閉じこもり、他者とコミュニケーションをとることができなくなる。
  • 認知機能障害
    • 記憶力の低下:物事を覚えるのに時間がかかるようになる。
    • 注意力・集中力の低下:目の前の仕事や勉強に集中ができなくなったり、考えをまとめることが難しくなる。
    • 判断力の低下:物事に優先順位をつけてやることが難しくなったり、計画を立てることができなくなる。

うつ病

うつ病とは、ストレスが重なることや、その他の多くの理由で、脳がうまく働いてくれない状態を示します。

眠れない、疲れやすい、食欲がないなどの身体症状が出たり、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しむことができないなどの精神症状も見られます。

これらは、日常生活に大きな支障を及ぼす場合にうつ病の可能性があります。

うつ病は、100人いたら6人が生涯の間にこの病気を経験している結果もあります。

特に女性が多く、男性の1.6倍ともいわれています。

他の精神疾患について

  • パニック障害:強い不安、動悸や呼吸がしづらいなどが突然現れます。
  • 強迫性障害:何度も確認をしないと落ち着かない強いこだわりをもつ障害です。
  • 心的外傷ストレス(PTSD):命の危険を感じる強烈な体験をしたことで、時間が経っても似たような場面に遭遇するとフラッシュバックをしてしまう障害です。
  • パーソナリティ障害:物事の考え方や、行動の仕方などが、まわりの人と著しく困難な状態を示す障害です。これは、本人だけではなく、まわりの人たちも困難をもたらします。

知的障害の特徴

知的障害は、知能指数(IQ)と日常生活における適応能力を総合して症状が決まります。

軽度、中等度、重度、最重度の4つになります。

一つ一つ解説していきます。

  • 軽度:読み書き、計算、時間、金銭などの概念を理解することは難しいが支援があればできます。
  • 中等度:幼児期の早い時期から言葉の遅れがみられます。概念の理解は小学生くらいの年齢にとどまり、常に支援が必要になります。
  • 重度:読み書き、金銭などの概念はほとんど理解ができません。言葉の遅れなどから早めに気づかれ、専門の人たちが支援をしてくれます。生涯を通じて、支援が必要になります。
  • 最重度:生活全般で、多くの領域にて常に支援が必要になります。身振りや単語など、コミュニケーションを理解することが難しいです。重い身体障害や、てんかんなどを伴っている場合があります。

精神障害・知的障害者が利用できるサービス

精神障害者、および知的障害者が利用できるサービスのことを「障害福祉サービス」といいます。

障害福祉サービスを利用できる年齢は、18歳以上になります。

この障害福祉サービスを受けるには「障害福祉サービス受給者証」を発行してもらう必要があります。

受給者証は、市区町村へ申請して承認されると発行されます。

障害福祉サービスはどんな種類があるか、まとめていきます。

  • 介護給付:介護系サービス
  • 訓練等給付:自立、社会生活を支援する
  • 相談支援
  • 地域生活支援事業

上記のサービスは、どのようなものがあるのか詳しく説明します。

介護給付

  • 居宅介護
  • 重度訪問介護
  • 同行援護
  • 行動援護
  • 重度障害者等包括支援
  • 短期入所(ショートステイ)
  • 療養介護
  • 生活介護
  • 施設入所支援

訓練等給付

  • 自立訓練
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援(A:雇用型、B:非雇用型)
  • 就労定着支援
  • 自立生活援助
  • 共同生活支援(グループホーム)

相談支援

  • 計画相談支援
  • 地域移行支援
  • 地域定着支援

自立支援医療

  • 更生・医療支援
  • 精神通院医療

地域生活支援事業

都道府県や市区町村が地域の実情に応じてさまざまなサービスや事業を実施するもの。

このように多くの福祉サービスがありますが、どのサービスを使うと過ごしやすくなるのかは、お住まいの市区町村に尋ねてみてください。

まとめ

精神障害と知的障害の違いについてまとめていきます。

  • 精神障害とは、精神疾患のため精神機能に障害が生じ、日常生活や社会参加に困難が出ている状態。
  • 知的障害とは、18歳未満で知的能力と社会生活への適応能力が低いことで日常生活に困難が生じている状態。
  • 精神疾患とは「統合失調症」「うつ病」「パニック障害」「強迫性障害」「心的外傷ストレス(PTSD)」「パーソナリティ障害」などがあげられる。
  • 知的障害とは、知能指数と適応能力の総合で判断される。区分けは4種類で「軽度」「中等度」「重度」「最重度」になる。
  • 精神障害および知的障害を持つ人は、障害福祉サービスを受けることができる。役所にて受給者証を発行してもらうことで、サービスを利用できる。

精神障害と知的障害は、同じものなのではと思っていた方も多かったと思います。

しかし、精神障害は多くの病気があり、知的障害は知能指数や適応能力を総合的に判断して決まります。

また、障害福祉サービスもその人のどこに焦点をあてて支援していこうか、となるため気になる方はお住まいの役所に行くのがおすすめです。