《福祉コラムVol.39》自立訓練(生活訓練)の対象者やプログラム 例と事業所の種類と特徴を解説。

2022.11.02

自立訓練(生活訓練)の言葉は知っていても、実際にどんな人が対象になるのか、またどのようなプログラムになるのかなどを知りたい人のために、自立訓練(生活訓練)の対象者やプログラム例とサービスが受けられる事業所の種類と特徴を解説します。

自立訓練(生活訓練)する目的は

自立訓練の目的は、障害を抱えている人が自立した日常生活を送ることができるようにサポート(訓練や支援)することです。サポートは自立訓練(生活訓練)と自立訓練(機能訓練)に分かれます。(生活訓練)と(機能訓練)の目的は同じです。生活訓練をするために身体を回復させるのが機能訓練と言えます。

自立訓練(機能訓練)と何が違うの

自立訓練(生活訓練)と自立訓練(機能訓練)の違いをみていきましょう。機能訓練は、生活訓練ができるからだにすることと言えます。つまり、障害の程度が重く、自由に手や足などのからだの部分を動かすことができない人に行うサポート(訓練や支援)することです。

機能訓練は、運動機能が弱っている人に、基本的な動作を回復させるために行うリハビリテーション。機能訓練のプログラム例としては「関節可動域を回復させるストレッチなどの訓練」「筋肉を強くする訓練」「普通に歩行できるようにする訓練」などがあります。 

自立訓練(生活訓練)の対象者とサービスの利用期間

機能訓練で基本的な動作が回復した人が、自立した日常生活を送るために行うのが自立訓練(生活訓練)です。自立訓練(生活訓練)の対象者とサービスの利用期間などをみていきましょう。

生活訓練:対象者

自立訓練(生活訓練)は、精神疾患がある人や知的障害を持っている人が対象になります。精神疾患とは、脳の障害や損傷で情報伝達などが正常にいかなくなったことで感情や行動をコントロールできない状態です。またストレスが原因で起こる心理的な精神疾患もあります。

知的障害とは、遺伝や頭部外傷などの外的が原因で知的能力(IQ)が低く、他人とうまくコミュニケーションができずに、一般的な日常生活が送れず、支援が必要な状態です。

このような状態の人が自立して日常生活を送れるように訓練を受けたい人が対象です。

具体的には

  • 特別支援学校を卒業した人
  • 病院や施設を退院し、自立した日常生活を送りたい人
  • 精神的や身体的に症状が安定している人

など

生活訓練:サービスの利用期間

自立訓練(生活訓練)の利用期間は原則2年、しかし理由があれば3年も可能です。長く入院していた人や施設に入っていた人が1年間の延長を望んで市区町村に申請し、許可されれば1年間延長されます。

自立訓練(生活訓練)の事業所には

自立訓練(生活訓練)の訓練や支援が受けられる事業所は通所型、訪問型、宿泊型に分かれます。自分に合っている事業所を見つけるためには事業所ごとの特徴を理解しておくことが大切です。そんな人のために、自立訓練(生活訓練)の事業所ごとの特徴についてみていきましょう。

自立訓練(生活訓練)事業所:通所型

自立訓練(生活訓練)の通所型は、知的障害や精神障害を抱えている障害者が通って訓練や支援を受ける形の事業所です。午前から午後まで1日通して訓練を受けるので、生活のリズムの乱れ改善の効果や体力の向上も期待できます。

自立訓練(生活訓練)事業所:訪問型

訪問型は、障害者宅に訓練や支援するスタッフが訪れて、スタッフと1対1で訓練が行われます。そのため、身体的に外に出歩くことや精神的な面で人と合うのが苦手な障害者に向いていると言えます。

自立訓練(生活訓練)事業所:宿泊型

仕事などの都合で昼間訓練が受けられない知的障害や精神障害を抱えている人には、ありがたいのが宿泊型の事業所です。事業所に泊まる形で夜間の訓練になるので夕食の準備や入浴、着替えなどの訓練が受けられて、身につけやすいと言えます。

自立訓練(生活訓練)のプログラム例には

自立訓練(生活訓練)には、生活系・体調管理系・コミュニケーション系・就労系のプログラムがあります。自立訓練(生活訓練)では、どのような訓練や支援をしているのか各プログラムごとの例についてみていきましょう。

プログラム例:生活系

生活系プログラム例には

  • 食事の作り方を学ぶ(調理訓練)
  • 洗濯、片づけや掃除とゴミ出しの仕方を学ぶ訓練
  • 金銭面の管理の仕方学ぶ訓練
  • 身だしなみの整え方の訓練
  • バス・電車や病院、役所・銀行など利用の仕方の訓練
  • 生活リズムの管理
  • 地域生活のマナー・ルールを守る訓練と支援

食事は作り方だけではなく、献立の決め方などの訓練もあります。金銭面の管理では、銀行などの金融機関でのお金の出し入れを身につける訓練です。バス・電車や病院、役所・銀行などを利用できなければ自立して生活を送ることは難しいでしょう。

自立して地域で日常生活を送るには、地域生活のマナー・ルールを知っておくことが大切です。

プログラム例:体調管理系

体調管理系プログラム例には

  • ストレスをためない発散方法の訓練
  • リラックスするためのリラクゼーションの訓練
  • 怒りや攻撃性の感情をコントロールするための訓練

ストレスによって体調を崩さないために発散方法を身につけることは大切です。いつも緊張しているようでは、体調を崩す原因になります。体調管理には、怒りや攻撃性の感情を抑えることも必要です。

プログラム例:コミュニケーション系

コミュニケーション系プログラム例には

  • 相手の意見を聞き、理解して自分の意見や考えを伝える訓練
  • 環境やその場の状況に合わせられる表現の仕方の訓練
  • 地域社会の参加と責任感について学び訓練

自立して日常生活を送るには、他人の意見を聞きよく理解することが大切です。環境やその場の状況に対応できなければ、他人とうまくやっていけないでしょう。

プログラム例:就労系

就労系のプログラム例には

  • 社会人としてのマナーの訓練
  • 就職のための応募書類(履歴書)の書き方や面接の受け方の訓練
  • 自分の強みと弱みを整理して自分に合う仕事を明確にする訓練

自立した生活を送るには、社会人としてしっかり仕事をすることが大切です。応募書類(履歴書)の書き方や面接の受け方を知らないと就職できず、自立の道が遠のくでしょう。

自立訓練(生活訓練)に必要な料金

自立訓練(生活訓練)を受けるためには所得に応じて自己負担金が必要です。

自立訓練(生活訓練)の料金

  • 生活保護を受けている世帯は負担金0円
  • 所得が低く、市町村民税非課税で300万円以下の世帯は負担金0円
  • 市町村民税課税世帯で所得税16万(年収600万円以下)負担限度額は9,300円
  • 上記以外で年収600万円以上の世帯の負担限度額は37,200円

まとめ

自立訓練(生活訓練)を受ける事業所には種類があり、効果を出すためには、自分に合っている事業所を使うことが大切です。また訓練に使われるプログラム例も基本的には同じでも微妙に異なります。事業所と同様に自分に合っているプログラムで訓練を受けましょう。