《福祉コラムVol.47》知的障害に分類はある?定義や根本の原因などを解説!
2022.11.17
知的障害にはどんな分類があるかみなさんご存知ですか?
大きく知的障害と言っても、まずは知的障害とはどんな障害なのだろうか。
こちらから説明していきます。
また、定義や根本の原因なども詳しく解説していきます。
知的障害とは
知的障害について詳しく説明していきます。
知的障害とは主に3つの基準があります。
- 知的能力(IQ)が70未満である
- 日常生活や社会生活への適応能力が低い
- 18歳以下であらわれる
厚生労働省は、知的障害を以下のように定義しています。
知的能力障害(ID: Intellectual Disability)は、医学領域の精神遅滞(MR: Mental Retardation)と同じものを指し、論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校や経験での学習のように全般的な精神機能の支障によって特徴づけられる発達障害の一つです。発達期に発症し、概念的、社会的、実用的な領域における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害のことです。すなわち「1. 知能検査によって確かめられる知的機能の欠陥」と「2. 適応機能の明らかな欠陥」が「3. 発達期(おおむね18歳まで)に生じる」と定義されるものです。中枢神経系の機能に影響を与える様々な病態で生じうるので「疾患群」とも言えます。
知的障害の分類
知的障害の分類と特徴を詳しく説明していきます。
知的障害の分類は「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4つに分けられます。
知的障害の診断や重症度は、知的能力を表すIQ(知的指数)と日常生活への適応能力(生活能力)を総合的にみて、こちらの症状が18歳以下であらわれたかどうかで判断します。
<軽度>
軽度知的障害は、IQ50〜70の知的障害です。
生活の中での、食事・更衣・排泄などの生活動作や言語によるコミュニケーションが支障なく行えます。
そのため、周囲も本人も気づかない場合があります。
しかし、言語の発達が周囲と比べると遅く、細かい部分や複雑な部分を理解することが難しいです。
子供の頃から、学習面ではつまづいていたり集団行動が苦手など困難が生じています。
18歳以上でも小学生レベルの学力で止まっていることが多いです。
【軽度知的障害の特徴】
- 生活の中での動作には支障がない(食事・更衣・排泄等)
- 買い物や家事は習得すれは1人でできるようになる
- 漢字や計算の習得が困難
- 簡単な文章でのパターン化されたコミュニケーションは可能だが、複雑なコミュニケーションは苦手
- 友達との交流はできるが感情コントロールが苦手
<中等度>
軽度知的障害は、IQ35〜50の知的障害です。
言語発達や運動能力の遅れがあります。
日常生活動作は、部分的には1人でできるが全てをこなすことは困難です。
文字を読むことや、金銭などの計算は小学生レベルで止まっています。
そのため、周囲の人とのコミュニケーションは単純なことなら可能だが、複雑なコミュニケーションはできません。
【中等度知的障害の特徴】
- 生活の中での動作は1人でできる部分もあるが周囲の支援が必要(食事・更衣・排泄等)
- 買い物や家事は1人でできるようになるまでは時間がかかる
- 単純なコミュニケーションは可能
- 金銭など(お釣りの計算)は苦手
- 初めての場所での移動や交通機関の利用は1人では困難
- ひらがなでの読み書きは習得すれば可能
- 判断力が乏しい・意思決定ができない
<重度>
軽度知的障害は、IQ20〜35の知的障害です。
言語・運動機能の発達が遅いです。
学習面ではひらがなの読み書き程度で止まってしまいます。
日常生活動作は、1人でできないため支援が必要です。
【重度知的障害の特徴】
- 生活の中での動作は1人でできないため周囲の継続的な支援が必要(食事・更衣・排泄等)
- 読み書きや金銭(お釣りの計算)は理解できないため支援が必要
- 学習面は習得すればひらがなの読み書きは可能
- 身振り・単語などの単純なコミュニケーション(挨拶等)は可能
- 1人での行動が困難なため支援が必要
<最重度>
軽度知的障害は、IQ20以下の知的障害です。
認識できるものは、自分の目の前にあるものに限ってしまいます。
自分の親であっても認識するのが難しい状態です。
言葉が発達することはなく、叫び声で留まってしまうためコミュニケーションは苦手で、できない場合もあります。
適切な訓練により、簡単な単語のみなら言えるようになることもあります。
日常生活動作は全てできないため支援が必要です。
【最重度知的障害の特徴】
- 生活の中での動作は全て1人でできないため周囲の継続的な支援が必要(食事・更衣・排泄等)
- 言葉が話せないため便意等も伝えられない。生活には必ず支援が必要。
- 言葉が発達することはなく、叫び声で留まってしまう。
- 自分の親の認識も難しいことも。
- 身振り・単語などのコミュニケーションであっても理解ができない。
知的障害の分類の定義
知的障害の分類の定義について詳しく説明していきます。
知的障害の診断は医療機関や地域によって異なりますが、一般的には「知的機能(IQ)」と「適応能力(生活能力)」の評価によって分類されます。
知的障害の分類は「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4つに分けられます。
知的障害の重症度を診断する指標の一つに、知的能力を表すIQ(知的指数・知的機能)があります。
IQは知能検査によって測定されます。
測定したIQが低いほど重症度が高くなります。
知能水準の区分
- I ・・・ おおむね20以下
- II ・・・ おおむね21~35
- III ・・・ おおむね36~50
- IV ・・・ おおむね51~70
身体障害者福祉法に基づく障害等級が1級、2級又は3級に該当する場合は、一次判定を次のとおりに修正する。
- 最重度 → 最重度
- 重度 → 最重度
- 中度 → 重度
上の図は、横軸に適応能力(生活能力)、縦軸に知的機能(IQ)になります。
表で確認していくと、横軸の適応能力(生活能力)が横軸のaに近づくと自立した生活は難しく、bに近づくと自立した生活ができます。
縦軸のIQが低いとⅠ(最重度知的障害者)に近づき、IQが高いとⅣ(軽度知的障害者)に近づきます。
このように、適応能力(生活能力)と知的機能(IQ)の合わさりを確認し、知的障害の程度を診断しているのです。
また、知的機能(IQ)が低かったとしても、適応能力(生活能力)が高いと一つ軽度の分類で診断されています。
そのため、知的機能(IQ)と適応能力(生活能力)の両方が評価され診断されると理解できます。
まとめ
知的障害の分類は「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4つに分けられることが理解できます。
それぞれが、知的機能(IQ)と適応能力(生活能力)の両方から適切に診断されています。
区分が上がるほど、自分でできることが少なくなり周囲の支援を必要とします。
適切な支援サービスを確認し生活をしていきましょう。
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