《福祉コラムVol.44》知的障害者の療育手帳「愛の手帳」とは?

2022.11.09

療育手帳という名前を聞いたことがある方は多いと思います。

この療育手帳は、どのような障害を持つ方が必要となる手帳なのでしょうか?

療育手帳のメリット・デメリットを含めてまとめていきます。

知的障害者の療育手帳「愛の手帳」とは?

療育手帳とは、知的障害を持つ人が申請をすることができる手帳のことです。

療育手帳があることで、障害を持っているという証明ができ、多くのサービスを受けられます。

療育手帳は、国がガイドラインを示し、各自治体が運用を決めています。

 そのため、自治体によって「療育手帳」の名称が異なることがあります。

療育手帳の対象となるのは?

療育手帳の対象となる方は、児童相談所または知的障害者更生施設にて知的障害があると判定された人に交付されます。

18歳未満の方は児童相談所で、18歳以上の方は知的障害者更生施設で判定を受けます。

判定場所・方法

療育手帳が取れるかの判定は、知能指数(IQ)と日常生活への支障があり、支援が必要と判断された場合です。

医師による診察、本人や保護者からの聞き取りや、心理検査などを行い、判定をします。

 基準がありますが、自治体によって異なります。

IQが70以下、または75以下で日常生活や社会生活に支障が出ている場合、療育手帳の交付の対象となることがあります。

この交付の対象なども、自治体によって詳細が異なることがあります。

療育手帳の等級

療育手帳の判定結果によって「等級」と呼ばれるものが変わります。

この等級は、療育手帳の交付後に受けることができるサービスが変わってくるのです。

厚生労働省のサイトによると、判定で重度の人は(A)、それ以外を(B)に区分しています。

しかし、各自治体によってさらに詳細を分けています。

詳しくはお住まいの自治体ホームページをご覧ください。

知的障害者の療育手帳を取得するメリットとデメリット

療育手帳を取得することによるメリット、デメリットをお話させていただきます。

療育手帳のメリット:割引などの福祉サービス

療育手帳を取得することでメリットが多くあります。

  • 公共料金の割引
  • 助成金制度
  • 税金の軽減

療育手帳の等級や所得状況、お住まいの自治体により受けることができる福祉サービスは異なります。

主な料金の割引や、助成の一部をまとめていきます。

  • 医療費の助成
  • 公共施設の割引
  • JRやバスなどの公共機関の割引
  • 携帯電話の基本料金の割引
  • 公営住宅の優先入居
  • NHK受信料の免除
  • 所得税や住民税の障害者控除

療育手帳を持つことによるメリットは多くあります。

自治体により、どのような福祉サービスなどがあるかは異なるため、お住まいの自治体に問い合わせするのがよいです。

療育手帳を持つデメリットは?

療育手帳を持つことで、まわりの人に障害を持っていることがわかってしまうのでは?と考える方が多いです。

その不安から、取得することを躊躇う方もいると思います。

しかし、自分から手帳を持っていることを伝えなければ知られることはありません。

療育手帳を取得するかは任意となるため、知的障害がある方は全員強制的に取得するという理由はありません。

また、取得した手帳は返納をすることができます。

もし、デメリットをあげるなら療育手帳の申請や更新に手続きがかかることです。

交付されるまでに1〜2ヶ月かかる場合があります。

まとめ

知的障害者の療育手帳についてまとめていきます。

  • 療育手帳は知的障害を持つ人が申請できる手帳。
  • 療育手帳の判定は、18歳以下は児童相談所で、18歳以上は知的障害者更生施設で行われる。
  • 療育手帳には等級があり、その等級に応じて福祉サービスの利用も変わる。
  • 療育手帳のメリットは、福祉サービスを受けられることなどさまざま。
  • デメリットは、手帳の交付までに1〜2ヶ月かかること。

療育手帳は知的障害の人にとって、多くの福祉サービスを受けることができます。

しかし、療育手帳を持つことでまわりから障害を持っていると知られるのを嫌だと感じる方も多いです。

療育手帳は、任意で交付してもらうことが可能なためメリットが多くあるかで判断して決めていくのが一番となります。