《福祉コラムVol.14》知的障害児の出生原因とは?特徴や遺伝との関連性や診断について

2022.09.15

知的障害児の出生原因にはどんな原因があるかご存じでしょうか。

知的障害児に関わったことがある方はいらっしゃいますか。

生活の中で関わったことのある方は少ないでしょう。

今後、生活の場面で関わることが出てくるかもしれません。

その時に、少しでも理解を深め関わることが出来ると視界が広がります。

知的障害児の出生原因にはどんな原因があるのか、特徴や遺伝との関連性や診断について詳しく説明していきます。

知的障害とは、知的機能の障害が発達期(幼少期から青年期・18歳以下)にあらわれ、日常生活の中でさまざまな不自由が生じることを言います。

また、社会生活を過ごす上で困難を感じ、支援を必要としている障害です。

知知的障害児の診断について

知的障害時の診断について詳しく説明していきます。

<知的障害の判断基準>

知的障害は知的指数(IQ)を測る知能検査によって判断されることは間違いありません。

しかし、知的障害は知的障害福祉法やその他の法律にも具体的な定義がありません。

IQと日常生活能力・適応能力によって知的障害の程度は変わります。

そのため、知的障害は知的指数(IQ)と日常生活能力の両方からその程度が定義されます。


1.知念的概念領域:記憶、言語、読字、書時、数字的思考、実用的な知識の習得、問題解決、および新規場面における判断においての能力についての領域
2.社会的能力:特に他者の思考・感情・および体験を認識すること、共感、対人的コミュニケーション技能、友情関係を築く能力、および社会的な診断についての領域
3.実用的領域:特にセルフケア、仕事の責任、金銭管理、娯楽、行動の自己管理、および学校と仕事の課題の調整といった実生活での学習および自己管理についての領域
わが国における適応行動評価の客観的尺度として最近、日本版Vineland-II適応行動尺度が発行されました。対象年齢は0歳から92歳までで、幅広い年齢層における適応行動を明確に得点化でき、コミュニケーション、日常生活スキル、社会性、運動スキルの4つの適応行動領域に分けて評価します。

知的障害(知的遅延)e-ヘルスネット  

<知的障害の出生原因>

知的障害の原因には、色々な原因があります。

また、はっきりとはわかっていない原因もあります。

出生前の原因としては、遺伝子や染色体の異常(ダウン症)があり起こる内的原因によるものと、母体の感染症(フェニルケトン尿症など)や薬物の影響、外傷などにより起きる外的原因によるものがあります。

先天性の代謝異常の場合は、新生児の時期のスクリーニング検査により早期発見が可能です。

周産期の原因としては、出産の際に低酸素や循環障害によるものがあります。

出生後の原因としては、交通事故や何らかの衝撃による外傷性の脳挫傷や感染症によるものがあります。

日本脳炎や結核性髄膜炎・ポリオ・麻疹・百日咳等に感染し重症化して脳炎になってしまうと、知的障害を引き起こしてしまう可能性があります。

この感染症は、予防接種により感染を防ぐことが出来るので、出生後はしっかりと予防接種に通いましょう。

また、栄養不足・不適切な環境・虐待により脳の発達が遅れてしまうことも要因としてあります。

<知的障害児の障害程度>

障害程度は「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4種類に分けられます。

軽度

知的障害の軽度は、読み書き計算、時間等が年齢相応の基準を満たしていますが、支援が必要な状態です。

コミュニケーションはパターン化されており、他の方と比べると未熟です。

他者との関わりでは、気持ちや行動のコントロールが苦手です。

ある程度は出来ることがありますが、深い内容を理解しなければならないことや、複雑なことは支援を必要とします。

そのため、周りからは「怠けている」と思われてしまうこともあります。不登校などにも繋がることがありますので注意が必要です。

中度

知的障害の中度は、幼児期の早い時期から言葉の遅れが見られる状態です。

単純なコミュニケーションのみなら可能です。

成人後も小学生ぐらいの精神年齢にとどまってしまいます。

買い物や、家事が出来るようになるまでは長時間の支援が必要となります。

また、自分で判断をする事が困難なため支援が必要です。

周囲からは関わることの困難さを生み出してしまいます。

重度

知的障害の重度は、発達の初期から運動・言語面での発達の遅れが見られほとんど理解する事が困難な状態です。

特別支援教育での学習が必要であり、生活のあらゆる場面で継続的な支援が必要です。

コミュニケーションは単純な単語・身振りなら出来ます。

最重度

知的障害の最重度は、運動・言語面での発達に著しい遅れがあり理解できない状態です。生活は、他者の支援がないと難しいです。

コミュニケーションは単純な単語・身振りを理解できる事もありますが、できない場合もあります。

身体障害やてんかん発作などを伴う場合もあります。

まとめ

知的障害の判断基準は、知的障害は知的指数(IQ)を測る知能検査によって判断されています。

知的障害は知的指数(IQ)と日常生活能力の両方からその程度が定義されます。

知的障害の出生原因は、内的原因・外的原因、また出産前後といった時期によってもさまざまな要因があります。

遺伝によるものもありますが、感染症は予防接種により防ぐことが出来ます。

さまざまな要因がありますが、感染症を防ぐ事ができる予防接種はとても大切なので必ず受けましょう。

知的障害の障害程度は「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4種類に分けられます。

程度によって理解度、コミュニケーション・生活が全く違います。

このように知的障害にはさまざま原因・特徴・診断・重度があります。

知的障害を理解することは難しいですが、今後医療の進歩と、サービスがさらに発展し障害を持った人が生活しやすくなることを期待します。