《福祉コラムVol.6》知的障害者の居場所づくり

2022.08.05

知的障害者の居場所づくり。知的障害に関する施設の申請方法なども解説!

「息子には知的障害があります。知的障害者が過ごせる居場所ってあるのかしら?」

「現在知的障害をもつ子どもと関わる仕事をしています。この子たちが18歳以降になって過ごせる居場所ってあるのかしら?」

あなたはこうお悩みではありませんか?

厚生労働省が行った知的障害児(者)基礎調査によると、「知的障害者とは、知的機能障害が発達期(概ね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にある者」と定義されています。

知的障害者の中には、何らかの脳機能の障害がある為に日常生活において困り感を抱えている方がいるかもしれません。

知的障害者の方が安心して過ごせる居場所があることで、当事者にとっても心理的にも安心し、彼らのQOLが向上しよりよく生きられるかもしれません。 

今回は知的障害者の方が利用できる居場所についてお話します。

知的障害者の居場所であるコミュニティの大切さ

知的障害者にとって、居場所がなぜ必要なのでしょうか?

ある研究において、知的障害ではありませんが、自閉症スペクトラムの成人の約半数は家族以外とコミュニケーションを頻繁に取らず、成人期になって、人間関係を求めるといわれる研究もあり、成人期になり人と関わりたいと望む障害をお持ちの方もいます。

また多くの知的障害者の方は成人期になると、仕事をして少しずつ自立した生活を始める方もいらっしゃいます。また親亡き後を考え、少しでも一人で生活できるようにと、周囲が知的障害者自身の強みや出来ることから生きていける様に、働きかけるケースがあります。

一方で、障害がある人が働くということは、その本人の特性や、仕事の性質によっては困難かもしれません。仕事での失敗体験や上司の無理解により、精神的に落ち込んでしまう方もいるかもしれません。

その際に、居場所と呼ばれる環境があり、その人自身を受容してもらえる環境、その人自身の特性や困り感をわかってもらいフォローしてもらえる環境があれば、知的障害者の方のQOLを下げることなく、生きていける場となるかもしれません。

自分自身を認めてもらえる場所、そして、自分の特性をわかった上で接してもらえる環境は知的障害者の方にとってもよい場所なのかもしれません。

知的障害者に関する施設を紹介!

続いて知的障害者の方が利用できる施設を紹介します。今回は福祉施設についていくつかご紹介します。

知的障害者を含む障害者が使えるサービスは、個々の障害をお持ちの方の障害程度や、障害をお持ちの方の生活背景などを踏まえ、支給決定するかどうかきまる「障害福祉サービス」があります。介護の支援を受ける際には、「介護給付」を、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」を受けることがあり、同じ障害をお持ちの方が利用する給付元が違う可能性があります。

 続いて、各サービスが受けられる福祉施設についてご紹介します。

①介護給付によるサービス:生活介護

知的障害や重度の自閉症を含む障害をもつ利用者が日常生活または社会生活をいとなめる様に、入浴、排せつ、食事などの介護の支援を行う事業所もあります。

事業所によっては、作業を行い工賃がもらえる事業所もあります。

こちらの施設に通えるかどうかは、障害者の区分によって決まります。

②介護給付によるサービス:短期入所

知的障害の方を介護する方(知的障害者の家族の方や介護者)が病気や特別な理由に限り、短期間夜間も含めて施設で、入浴、排せつ、食事の介助をする施設です。

③訓練等給付:自立訓練(機能訓練・生活訓練)

障害者の方が、自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練を行う施設です。知的障害者の方も通うケースがあります。

④訓練等給付:就労移行支援

障害者の方が、一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び

能力の向上のために必要な訓練を行う施設です。就労移行支援を利用して、一般就労や就労継続支援(A型・B型)に通う方もいます。

⑤訓練等給付:共同生活援助(グループホーム)

障害者の方が、主として夜間において、共同生活を行う住居で相談、入浴、排せつ又は食

事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行う施設です。

続いて利用の手続きについてご紹介します。

1.サービスの利用を希望する方は、市町村の窓口に申請し障害支援区分の認定を受けます。 介護給付を受けて福祉サービスを受ける場合は、障害支援区分の認定を市が出してくれます。訓練等給付の場合、一部のサービス以外は障害支援区分を受けずに、次の支援決定のプロセスへと進みます。

2.市町村は、サービスの利用の申請をした方(利用者)に、「指定特定相談支援事業者」が作成する 「サービス等利用計画案」の提出を求めます。 利用者は「サービス等利用計画案」を「指定特定相談支援事業者」で作成し、市町村に提出します。

3.市町村は、提出された計画案や勘案すべき事項を踏まえ、支給決定します。

4.「指定特定相談支援事業者」は、支給決定された後にサービス担当者会議を開催します。

5.サービス事業者等との連絡調整を行い、実際に利用する「サービス等利用計画」を作成します。
サービス利用が開始されます。

加えて、介護給付を受ける際の障害支援区分とは、障害の多様な特性や心身状態に応じて必要とされる標準的な度合いを示す6段階の区分に応じて、必要とされるサービスが決定します。

調査項目は、

①移動や動作等に関連する項目(12項目) 

②身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目) 

③意思疎通等に関連する項目(6項目) 

④行動障害に関連する項目(34項目) 

⑤特別な医療に関連する項目(12項目) の80項目となっており、

各市町村に設置される審査会に おいて、この調査結果や医師の意見書の内容を総合的に勘案した審査判定が行われ、その結果を踏まえて市町村が認定します。

いかがでしたか?もし疑問点等がありましたらお近くの市役所等にある障害福祉課に連絡を取ってみると詳しく教えてもらえると思います。

まとめ

いかがでしたか?ここまで知的障害者の居場所の必要性や居場所の例等を紹介しました。

これまでの話をまとめます。

①知的障害者の居場所やコミニティは知的障害者のQOLや先に繋がる支援として必要です。

②知的障害者の居場所として、生活介護、就労移行支援、生活訓練、就労継続支援などの福祉サービスが利用できます。

③知的障害者の方の居場所の為には、市区町村に申請をすることで、利用できます。分からないことがあれば知的障害者の方のお住まいの自治体の障害福祉課に相談するとよいでしょう。

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