《福祉コラムVol.43》知的障害者の赤ちゃんの兆候を紹介
2022.11.08

これから生まれてくる自分の子どもに、何か病気や障害があるかどうか気になる方は少なくないでしょう。
知的障害は生まれつきの脳機能の障害で、IQや日常生活の適応スキルに応じて診断され、論理的思考や抽象的思考が難しく、自己判断や感情のコントロールなどに困り感を持つ障害です。
つまり、IQを測る検査や、日々の生活の中での困り感等を見極める必要があります。
では、赤ちゃんの頃から何か兆候や診断できる特徴はあるのでしょうか。
知的障害はどの段階で診断されるものなのか、また、赤ちゃんの頃から知的障害が疑われる兆候があるのかどうか解説していきます。
知的障害者は赤ちゃんの時点でわかる?
知的障害は、赤ちゃんの時点では正確に判断することが難しいとされています。
その理由は、知的障害は見た目では判断がしにくく、言葉の発達や表現の仕方、
思考力といった知的障害を明らかにする判断基準も赤ちゃんの段階では見極めが難しい要素だからです。
したがって、知的障害と分かるタイミングとして、1歳半検診や3歳児検診、就学前診断で分かる場合があると言われています。特に小学校に進学する時期に明らかになるケースが多いようです。
知的障害者の赤ちゃんの兆候
知的障害は診断基準の観点から、年齢が低いほど判断しにくいことが分かりました。その中でもわずかに見られる、知的障害が疑われる兆候もいくつか考えられているようです。
知的障害が疑われる子どもに見られる兆候を、0歳から5歳までの年齢別に解説していきます。子どもの発達段階を踏まえ、見られる兆候を抑えておくことで早期発見につながり、その後の適切な療育等の支援につなぐことができます。
0歳の兆候
0歳児の赤ちゃんに知的障害と診断が出ることはほとんどありません。しかし、下記のような兆候が見られる場合は知的障害の疑いがあるとも言われています。
- 泣き止まない
- あまり泣かない
- 抱っこされるのを嫌がる
- なかなか目が合わない
1歳〜3歳の兆候
年齢を重ね、感情の表現の仕方、周囲との関わり方、物事の理解の仕方など発達段階で気になる点がある場合、知的障害が疑われることがあります。ただし、幼少期は発達の個人差があるので、一概に必ずそれらが当てはまるというわけでもありません。
- 言葉の発達が遅れる
- パニックや癇癪を頻繁に起こす
- 特定のおもちゃにこだわって遊ぶ
4歳、5歳の兆候
4歳、5歳になると幼稚園や保育園でもお友達や先生との関わりが増え、遊びも一人ではなく「一緒に」することが増えてきます。集団の中で少しずつ社会性を身につける初期段階に入ります。
その中で、知的障害を疑われる兆候も徐々に見られやすくなってきます。
- 思い通りにいかないと頻繁に強い癇癪やパニックを起こす
- 物事の理解や認知に遅れが見られる
- 言葉の発達の遅れが見られる
- 聞く、話す、推論する力が低い
- 身支度や食事等の自立に時間がかかる
- 計算が極端に苦手
知的障害の検査の基準
幼児期には発達の個人差もあり、知的障害の兆候に気がつきにくいことも多いようです。できるだけ早くに知的障害の兆候に気がつき、専門機関による適切な療育を受け始めることが大切になります。
では、知的障害は実際どのように検査され、診断されるのでしょうか。
知的障害の判断基準
知的障害は、記憶や言葉、計算、問題解決などといった「概念的領域」と対人コミュニケーションや社会的判断といった「社会的領域」、金銭管理や行動管理といった「実用的領域」の3つの領域における知的機能と適応機能が重視されています。
知的障害の検査
上記の3つの領域における知的機能の検査は「知能検査」によって検査されます。検査の結果、平均から少し低い「IQ得点65-75」が一つの基準となっています。
しかし、IQだけでは評価することが難しいため、3つの領域における「適応機能」の評価が重要視されています。
3つの領域の中で、少なくとも一つの領域で継続的な支援が必要だと判断された場合は知的障害の診断基準に該当することとなります。
知的障害は程度によって4分類される
知的機能と適応機能の評価によって知的障害として診断基準を満たすと、その重症度に応じて次の4つに分類されます。
- 軽度
- 中等度
- 重度
- 最重度
重度、最重度の知的障害の場合は、身辺自立やコミュニケーションに明らかな遅れが見られることが多く、比較的早期に気がつくことができるが、軽度の場合は発達の個人差かな?と思われ、就学前にも気がつかない場合も多くあるようです。
判断が難しい、知的障害と発達障害の併発
知的障害と発達障害は別の障害ですが、併発しているケースも少なくありません。この二つの障害は「知的に障害があるかないか」に大きな違いがあります。
しかし、障害の特徴として、どちらか一方の障害として一括りで捉えられてしまうケースも多く、併発している場合にはそれぞれの障害の特性を理解したアプローチが重要です。
発達障害の各障害ごとの特徴についても把握しておきましょう。
学習障害
学習障害は知的には障害がないものの、特定の機能において苦手を生じるもので「書字障害」や「読字障害」、「算数障害」があります。
単に「知的障害」だから勉強が苦手と一括りで捉えられてしまうこともあります。しかし、そのメカニズムは異なります。
注意欠陥・多動性障害
落ち着きがない、すぐに癇癪を起こしてしまうなど、幼児期には判断するのが難しい特徴がありますが、幼稚園や保育園で集団の中に入ると少し目立ってしまう可能性があります。
周囲の理解と環境設定がポイントになるため、早期発見による特別な配慮が必要になります。
自閉症スペクトラム
目が合わない、特定のおもちゃで同じ遊びを常同的に繰り返したり、様々な特性があります。特に、対人関係やコミュニケーション、相手の気持ちを想像する力、などにおいて苦手な部分が多く見られます。
まとめ
赤ちゃんから5歳頃までの知的障害の兆候についてその特徴をまとめました。
特に赤ちゃんの時期に知的障害の兆候に気がつくのは難しいとされていますが、泣き止まない時間や頻度、極端に抱っこを嫌がるなどの特徴は知的障害を疑う基準になりうることがわかりました。
日々の様子に気になることがあれば、医師や専門の療育機関に相談することで適切な対処の仕方を知ることができ、早期診断にもつながります。
4つに分類される知的障害のなかで、軽度の場合はその兆候に気がつくのが遅れる場合があります。
早期診断は子供が安心した環境で暮らすためにとても重要なことです。
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